La Rose du Petit Prince 刺繍で綴る「星の王子さまの薔薇」
「星の王子さま」(邦題 )、世界中で140ヵ国語に翻訳され、あの小さな男の子のイラストを知らない人はいないでしょう。
数年前まではフランスの50フラン紙幣の図柄にもなっていて、 いつも「可愛い。。。」と思いながら使っていました。
こんなに有名な「星の王子さま」なのに、つい最近まで1度も読んだことがありませんでしたし、恥ずかしながら、あらすじさえ知りませんでした。
それが、2007年にNHKで放送されたある番組を見てビックリ!子供が読んで楽しいだけの物語だと思っていたら大間違いで、大人にも十分読みごたえのある素敵な小説であることを知りました。 そして、美しい薔薇が登場することも初めて知りました。
よく見ると、この紙幣の王子さまの足元にも、ちゃんと薔薇が描いてあります。
その番組では、「作者アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの生涯」と「星の王子さま」の話が並行して語られており、特に、王子さまと薔薇にダブらせて、サン=テグジュペリと妻コンスエロの関係に注目していました。 この夫妻の実話も感動的なのですが、それはさておき、私は物語の中の登場人物が口にする数々のセリフにどんどん惹きつけられてゆきました。
「絆って何なのか?」「どうやって馴染みになるのか?」「心でないと、ものは見えない。肝心なものは目では見えないんだ。」
その後、すぐに「星の王子さま」を読んだことは言うまでもありません。
そしてフランス語の勉強を兼ねて、原書にもチャレンジしました!
蕾の頃を観察した文章はとてもチャーミングで、やっと咲いた薔薇と王子さまの対面や、王子さまが要求の多い薔薇の世話をする様子には、思わず笑ってしまい、すっかりこの薔薇が好きになりました。 そして、この名場面、名セリフをずっと覚えていたいと思って刺繍の作品で残しました。
薔薇が開花する直前の大きな蕾。
薔薇って、蕾の頃の形も可愛いですよね。
長い間蕾のままでいる薔薇の様子を「まるで念入りに身支度を整えているかのごとく、、、」と優しいまなざしで観察している表現に、自然と微笑みがこぼれます。
開花の瞬間.......................一番好きなシーンです。
《Je suis née en même temps que le soleil.......》
「わたくし、太陽と共に生まれましたの。」
気持ちが晴々とする、大好きなセリフ ♡
要求の多い薔薇のお世話をする王子さま
朝は新鮮なお水をあげて/風が吹けば、風よけを立ててあげて/寒い夜には、ガラスのカバーをかけてあげます。
それぞれのシーンを絵本の1ページのように作ってゆきましたが、あれもこれも......とやってるうちに、7枚になりまし た。
(7枚いっぺんに、ちょっと難しかったのですが、日光が射す場所で、レースのカーテン越しに撮ってみました。)
ラストに近いシーンで、王子さまが言うセリフ ― 花園に咲いている沢山の美しい薔薇を見ながら、
「あなたたちは、みんなキレイだけど、ただそれだけさ。
僕にとっては、どんな薔薇よりも、あの薔薇の方が大切なんだ。 なぜって、僕が水をやり、ガラスのカバーをかぶせてあげて、
風よけを立ててあげたのは、あの薔薇なんだから――概略。」
(原文では、他にも、どんなに王子さまが薔薇に心を砕いていたか、描写が続きます。)
...........そして、「僕の薔薇」「薔薇のために過ごした時間」に思いを馳せます。
セリフも長くて大変ですが、はずせないシーンなので、頑張ってこのページも作りました!
この作品では薔薇だけを刺繍しましたが、どこかに王子さまの存在を感じるものにしたくて、薔薇を金色のチュールで引き立てました。王子さまのチャームポイント、金色の髪が放つ輝きをイメージしています。
(Created in 2009)